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両親への思い

080317.jpgまだ、フリーになりたての頃、私の中には家族に対する強いコンプレックスがあった。父は大学教授、姉や兄、その義兄弟は大きな企業や新聞社に勤める中で、自分だけがフリーランスという不安定な身分。どうにも取り残されているような気がして、引け目を感じていた。それが払拭されたのは、会社がそれなりに回り始めて以降のことだと思う。

だが、フリーランス・自営業だからこそ、普通のサラリーマンや公務員には見えない世界を見たり、立ち入らない領域に立ち入ったりすることもある。ある意味では、ずっと世の中のことが見える立場にあると私は思っている。勤め人だった頃には体験できない、世間の汚い部分に触れることもあれば、利害得失の不条理な構造に翻弄されたり、それを利用したりすることもある。

一時期、私にはそんな世界の中で奮闘する自分を家族、特に両親にはは分かってほしい、その世界の一端に触れて、自分が住む世界を理解してほしいとの思いが強くあった。だが、今はまったくもって逆である。できれば、そんな汚ならしい世界のことなんぞ、永遠に知らないまま平穏な日々を送ってほしいと思う。

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