もののつくりかた

060315.jpg一つのものを作るとき、あるいは一つのプロジェクトを進めるとき、その手法は大きくわけて二通りあると考えている。一つは、自分たちが手元にもつ材料や技術、ノウハウなどベースに何が作れるかを考える手法。もう一つは、完成形の理想像を先に描き、そのために必要な材料や技術を後追いで調達していく手法である。

私自身は、後者のやり方に固執したいと常々考えている。特に出版物やWebの場合、大掛かりな設備投資や仕入れが必要なわけではないので、うちのような小規模な会社においても、理想像を目指して後からノウハウを「かき集める」ことは、さほど難しいことではない。もちろん、工業製品を製作している中小企業などでは、必ずしもそのやり方が実行できるわけではないと思う。

数年前、とある雑誌のリニューアルを手がけたときも、私はそのやり方に固執した。いま自分たちが持っている人材・ネットワークをベースに何ができるかを考えても、完成する出版物のデキは見えている。それよりも「どんなコーナーが面白いか」「どんなコーナーが読者に役立つか」をベースに企画し、一見無理そうなものでも、何とかそれを実現する道筋を探る方が、はるかに面白いものができるに違いない。

もちろん、こうした手法を100%踏襲するのが難しいことは、よく理解している。諸事情により妥協が生じ、場合によっては50%以上が「現状の手持ち」で賄うことも珍しくはない。ただ、少なくともスタート時点においては、完成形の理想像を目指して動き始めるスタイルに、今後もこだわっていきたい。

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.con-text.co.jp/mt/mt-tb.cgi/137

comment submit