事務所移転から4ヵ月

 皆様方、新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
 早いもので、弊社が事務所を溜池山王に移転してから4ヵ月が過ぎました。すでに取引関係のある方々にはご案内しましたが、事務所はとある番組制作会社の一角をパーティションで区切る形で貸していただいています。広さは畳約6畳分ほど。そのうち半分くらいは、本棚やキャビネット、プリンター、パソコンなどが占めていますが、私一人が仕事をする上では十分すぎる広さです。最近は、何とか机をもう一つ設置することができたので、フリーランスの方々が執筆・編集作業をするスペースに充てています。
 新しい事務所を構える前、私は自宅を「住居兼事務所」として活用していました。朝起きるとそこが会社。通勤時間はゼロ。夜は疲れるまで仕事をして、限界が来たらそのまま床に入る。そんな生活が3年ほど続いていました。こうした生活スタイルは、仕事を進める上では極めて効率的で、特にこれといった支障はありませんでした。
 そんな便利な環境を破棄し、わざわざ賃料のかかる事務所を借りて、30分以上もかけて都心まで通勤することにしたのには、幾つかの理由があります。
 その一つは、昨年6月に体調を崩したことです。不規則な睡眠、食生活が原因で「高尿酸血症」となり、多くの方々にご迷惑をかけてしまいました。思い返せば「自宅が職場」は便利な反面、仕事とプライベートの境目がなくなり、仕事から完全に解放される時間はほとんどありませんでした。夜、床についても眠れない時、仕事のことをあれこれと考えてしまい、再び起きてパソコンへ。そのうち朝になってしまい、徹夜で取材に向かう……なんてことが珍しくなく、そうした無理が身体のあちこちに負荷をかけていたのだと思います。
 そんな不規則な生活から脱却する上で、自宅とは別に事務所を構えることは効果的でした。終電が来れば、必然的にその日の仕事は終了。自宅に帰れば、特にやることも無いので、ゆっくりとリラックスし、適度な時間には床につけます。仕事場では、それまで以上に仕事に集中できるようになりました。自宅と仕事場を切り離した9月以降、生活リズムは格段に良くなり、体調も日々回復していることを実感しています。
 また、事務所を別に構えたことのメリットは、体調面だけではありません。中でも大きいのは、人的なつながりの部分です。先述したように、事務所は番組制作会社「株式会社オフィス・ボウ」の一角にあります。そこの社員の方々とは、時を待たずして親しくなりましたが、どの方も個性的で魅力的な人ばかりです。番組制作会社という性格もあるのでしょうが、所属する人はいわゆる「転職組」がほとんどで、実に多様なキャリアを持ち合わせていらっしゃいます。映画業界で働いていた人、芝居で旅講演をしていた人、バラエティ番組の制作に携わっていた人……。中には「昔、ホームレスをしていた」なんて人もいます。そうした方々と「ちょっと一杯」なんて機会も多いのですが、とにかく退屈しません。そんな話の数々が、私にとってはこの上ない仕事の「糧」となり、「活力」となっていることは間違いないでしょう。
 また、このオフィスには、映像・出版業界の人々が頻繁に出入りします。そんな中から、新たな関係も生まれ、その一部は仕事に結びつきそうな気配を見せています。「人的ネットワークの拡大」を最重点課題として掲げる私にとって、多くの人と知り合える環境は実に有り難いものがあります。
 2004年、弊社はまた一歩会社らしくなりました。とは言え、まだまだ一人前の法人と言えるレベルには達していません。本年も、地味ながらも着実にステップアップしていきたいと考えておりますので、皆様方のご支援よろしくお願い申し上げます。

〔2005.1.1 弊社代表・佐藤明彦〕