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澤田です。
先日、今年の5月より半年間通っていた編集者・ライター養成講座を無事に卒業することができました。大手出版社が主催となって開いている講座なのですが、講師陣もバラエティーに富んでいて、ためになる話、意外な話をたくさん聞くことができ、とても楽しく通わせていただきました。途中、仕事が忙しくなった関係で通えない日が続き、あわや卒業認定不可か!?(一定の出席日数を満たさないと卒業が認めれないシステムなのです)と危機感に迫られた時期もありましたが、なんとかギリギリで卒業することができてよかったです(まるで大学時代の再現をしているようでした……)。
ところでこの講座には、「卒業制作」があります。課題は「自由なテーマで6000字程度のルポルタージュ作品を書きなさい」という至ってシンプルなもの。私は「東京マラソンの舞台裏」をテーマに執筆させていただいたのですが、同級生に話を聞いてみると、ワイン醸造家に相撲、仏教、はんこ作家、自衛隊、銭湯の壁画職人と、実に幅広いテーマで取材をしていることが分かりました。なかには詩人の谷川俊太郎氏のインタビューに成功した人も(!)。最終的に全員の作品が冊子にまとめられ配付されたのですが、どれも文章力という点ではとてもレベルが高く、やはり相応のモチベーションを持った人たちがここに集まっていたのだなぁと改めて思った次第です。
ところでこれらの作品の中から最終的に最優秀賞と特別賞、優秀賞の計10点が選出されたのですが、その面々を見てみると「病気、就活、不倫、ミッ○ーマ○ス、マラソン、自転車etc……」など、どれも「一般に認知度が高いもの」であることが分かります。個人的には、受賞しなかった方でも、受賞作品よりも文章が上手だと感じた人はかなりいたことから、今回の選考では恐らく「テーマの選択」がポイントになったのだろうと感じました。つまり、「どれだけ大多数の人にリンクできるテーマを選んでいるか」ということです。
しかし、多くの人が知っていることをそのまま書いても「知ってるよ」で終わってしまいますから、大切なのは「多くの人が認知していることからどれだけ意外性のあるものを引っ張り出せるかどうか」ということになるのでしょう。つまり「テーマの選択」に加え「取材力」が文章の面白さを決める上で、重要なファクターになるのではないでしょうか。
今回「東京マラソンの舞台裏」を取材するにあたって、フリージャーナリストとして第一線で活躍されている方と知り合うことができ、数時間ほど喫茶店でお話しをさせていただきました。その方の話を聞く中で強烈に感じたことは、文章の良し悪しは「文章以前」で決まるということ。なにやら禅問答のようですが、考えてみれば「テーマ選び」も「取材」も文章を書く以前の段階で必要となる仕事です。文章が上手に書けることに超したことはないですが、それはライターや編集者に求められる力のうち、ほんの表層的なものに過ぎないのではないでしょうか。
前回書かせていただいた「校正の極意」にも通じますが、どれだけ目に見えない部分に注意を払い、力を注げるかという点にこそ、ライターや編集者の資質が問われる気がしてなりません。
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