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澤田です。
突然ですが、問題です。
下の文章を読んで、間違っていると思う箇所を抜き出し、修正してみてください。
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12月下旬、僕は青森県の十和田湖にドライブに出かけた。まだ夜の開けきらぬうちに、八戸市から国道454号線に従って山の奥深くへ。道の両側は大人の身長ほどの高さまで雪が積もっており、路面もツルツルに凍っている。ぼくはタイヤをスりップさせないよう身長にハンドルを操作した。1時間ほどすると、白々と夜が明け始め、遠くに見える八甲田山の影から真っ赤な朝日が顔をのぞかせた。
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さて、どこが間違っているか、お分かりになりましたでしょうか。
正解は、、、
①まだ夜の開けきらぬうちに→まだ夜の明けきらぬうちに
②スりップ→スリップ
③身長にハンドルを→慎重にハンドルを
④ぼくはタイヤを→僕はタイヤを
ここまでお分かりになった方は及第点。特に④については、日本語的には間違いではないため、「表記を統一」するという観点がなければ気にもならないと思います。
しかし、これ以上に気付きにくいのが、残り一つの間違い。それは、、、
⑤遠くに見える八甲田山の影から真っ赤な朝日が顔をのぞかせた。
上の文章は、一見正しい文章に思えますが、実は十和田湖は八甲田山より「南」に位置しています。つまり、「八甲田山の影から朝日が見えた」などということは、「絶対にありえない」のです。
仕事上、文章の校正作業を行っていると、ついつい「文法上」の間違いに気をとられてしまいがちです。しかし、編集者としての力量が最も問われる点は、実はこのように「文章上には具体的な形で表れない間違い」を見抜く力なのではないか、と常々実感しております。こうした間違いは、ある程度幅広い知識がなければ見分けられないほか、書き手自身も「なんとなく」書いていることが多いため、その文脈に編集者自身も流されてしまいかねないからです(年号やグラフなど、データとして示されているものには敏感に反応しますが、このような風景描写はなんとなーく読み飛ばしがち、ということです)。
ライターが書いた文書を信頼することはもちろん必要ですが、こと校正に限っては、重箱の墨をほじくり返すように疑ってかかる「性悪な根性」が求められるのが編集者……というのは、あながち「間違ってはいない」ように思います。。。
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