「我々は実は盲目である?」

今回は映画「ブラインドネス」について話したいと思います。
映画「ブラインドネス」は、ジョゼ・サラマーゴ著の原作「白の闇」を「シティ・オブ・ゴッド」、「ナイロビの蜂」にて世界中の賞賛を得たフェルナンド・メイレス監督作品です。

あらすじは、
都会の街角。日本人男性が運転する車が交差点で立ち往生していた。鳴り響くクラクションの中、男は突然目の前が真っ白になり、完全に視力を失っていたのだ。彼は親切なふりをした泥棒に助けられ家まで送り届けられるが、そのまま車を持ち去られてしまう。妻に付き添われ病院に行くも、医者は眼球に異常はなく原因はわからないと告げる。しかし、各地では失明者が続出していた。車泥棒も、そして、診察した医者までも。すごいスピードで“白い闇”は感染していった…。

私は、本作を鑑賞した後、正直肩透かしを食らったと感じました。
「シティ・オブ・ゴッド」、「ナイロビの蜂」というフェルナンド・メイレス監督作品をご覧になったことのある方なら同様なことを感じた人も少なくないのではと思います。

そうでは有りますが、私はこの映画を否定するわけではありません。
本作は、病気を描く物語でも、サバイバルサスペンスでもありません。政治的な面も多少描いてはいますが、これはシンプルに突然失明してしまったら、人々はどういう行動を取るかを描いた映画であると思います。
我々の生活にとって目は非常に重要な役割を果たしています。「もしそれが突然見えなくなってしまったら、我々の世界は、我々自体は、どう変わってしまうだろうか」というのを唯一、失明しなかった主人公の目を通して問いかけてくる作品でした。

良く「百聞は一見にしかず」と言いますが、これは見えているものイコール我々が信じるものだと言うことを意味すると思います。そうだとすると、やや大袈裟ではありますが失明するという事は我々が信じるものを失う事と同じと言えるのではないでしょうか。そして我々は失明した時、はじめて我々はすでに盲目である事を痛感するのではないか?と考えさせてくれる映画でした。

本日はこの辺で。

comment submit

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)